やつおローカルかわら版007「本物の野菜を本気で育てる」上野起与人

今回は、前号からのリレー形式ではなく、
「14歳の挑戦」スベシャルです。

大谷中学校2年生の2人と一緒に、
八尾町大長谷の上野起与人(きよと)さんの農場へ行ってきました。

様々な職業を経験されてから、農家になった上野さん。
昔から受け継がれている固定種、
在来種にこだわった農業をされている理由とは?

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車がすれ違うのもやっとの山道を通って八尾町大長谷へ。
畑と水田に囲まれた古くからある民家、
その前で夢響村塾(むこうそんじゅく)とやまの
上野起与人さんが待っていてくれた。



畑の見学からスタートして、ズッキーニ、バジル、大豆、さつまいも、
じゃがいも、かぼちゃ、きゅうりなどたくさんの野菜を見せてもらった。

取材時にちょうど時期だったズッキーニの収穫を体験。
ずしっと重く、実が詰まっていた。



上野さんにどうして八尾の山奥で農業なのか、始められたきっかけから聞いてみた。

「農業を始めたのは実は3年前から。
 それまではいろいろな仕事をしてきたが、どれも中途半端になってしまっていた。
 楽しくなかったというか、わくわくしないことをお金を稼ぐためにしていた。
 そんなときにある講演会に行って、二つのきっかけがあって農業をやろうと思った。

 1つ目は、農家されている人たちの年齢。
 なんと平均年齢は65歳。
 ただでさえ食料自給率が低い日本の農業、10年後にはなくなってしまうと思った。

 2つ目は、種の問題。
 今流通している種のほとんどがF1種という種。
 これは、形が均一に手頃な大きさになるよう遺伝子を操作されている。
 ただし、1代しかその効果は保たない。

 本来、2代目以降の種には、先代が育った土地や気候に合った遺伝子情報、
 生きていくための力が受け継がれていくもの。
 それなのに、人間が操作したF1種ではその力はない。
 だから、それを食べている人間の力も弱っているのではないかとも言われている。

 それなら昔からある在来種を育てよう、
 自分の畑で代々種をとっていこう、
 誰かがやってくれるのを待っているのではなく、自分がやろうと心を決めた。」



決意を持って農業の世界に入られた上野さん。
見学した畑で育っていた野菜はほとんどが日本やヨーロッパに昔からある品種だそうだ。

「里山、綺麗な水、動物たちがいるところでやりたいと思っていたら、
 この八尾の畑はどうかと声をかけられた。
 いろいろな人とのつながりのおかげだね。

 富山を良くしたいと思っている仲間の活動を応援し続けてきた。
 その結果、自分も応援してもらえ、この地で農業ができるようになった。
 大事なのは応援し続けているかどうか。」


いろいろな人とのご縁で誕生した畑。
この畑の中で一番育てがいのある野菜はなんなのだろうか?

「トマトかな。一番力を入れていて、今は8種類育てている。
 全部昔から受け継がれてきた種を使って自然栽培で育てている。

 自然栽培は、映画にもなった奇跡のリンゴの木村さんから直接教わった、
 除草剤、農薬、化学肥料を使わず、土の中にいる微生物を増やして地力を高める方法。
 だから生命力に溢れている。形は不揃いになってしまうけれど。
 不揃いでも自然栽培で育った野菜が普通のスーパーで買える未来にしていきたいね。」


野菜や果物を作って学んだことは?

「命の大切さ。
 それと昔のお百姓さんたちが育てて次の世代に残し続けてくれた種を、
 次の代に残さないといけないという責任だね。
 嫌だなとか大変だなと思うこともあるけれど、
 そこであきらめられない、あきらめてはいけない仕事だと思っている。」


使命感や情熱が見学時にも取材時にもバシバシ伝わってくる、
まさに〝本気の百姓〟



最後に見せてもらったリンゴの苗木には無農薬無肥料の奇跡のリンゴが実をつける。
5年後が今から楽しみだ。

そして将来、仕事を選択するときに自分がわくわくしているかどうか、
縁ある人を応援しているどうか、この取材を思い返したい。
そしてもちろん、野菜を選ぶときにも。



↑上野起与人さんの「ありがとう」
北陸三県ありがとうプロジェクト
http://oyabelocalmail.blog27.fc2.com/


【紹介】


夢響村塾(むこうそんじゅく)とやま
〒939-2437 富山県富山市八尾町水無136
https://www.facebook.com/mukousonjyukutoyama


■越中八尾 やつおローカルかわら版
https://www.facebook.com/YatsuoKawaraban



大谷中学校14歳の挑戦
この記事は14歳の挑戦の一環として大谷中学校の生徒が取材をして記事を書きました。

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