やつおローカルかわら版004「人が大事」滝本満也

「利益は薄いかもしれないけれど、人に喜んでもらう仕事をする。
 父のずっと守ってきた思いでもあるし、最後はそこになる。」

と語ってくれたのは滝本工務店の滝本満也さん。



会社は、滝本さんのお父さんが18歳のときに大工として独立し、始めた。
滝本さん自身は他へ修行にもいき、26歳のときに会社に入った。

「大工として働く父の姿をずっと見てきたので、
 いずれ自分も後を継いでそうなるのかなと思っていた。
 5人兄弟の長男でもあったから。今は弟1人が一緒に働いてくれている。」


「入ってまず驚いたのが大工さんたちの年齢層がほとんど50代後半、
 60代であったこと。
 それでは、この先10年、20年はもたないなと思った。

 そこで、父の方針、会社としての方針を話し続けた。
 納得できない方は自発的に去っていかれたので、
 共感してくれた若い世代と入れ替わっていった。」

「とは言っても、
 最初の頃は自分もわかっていない部分があって、
 会社に入って6年ぐらいは父とのケンカも多かったけどね。

 八尾の中でいろいろな役を経験させてもらって、
 勉強もさせてもらって、言うべきことと言わなくてもいいことを
 自分の中で判断するようになったときから、
 ぶつかることは少なくなったね。」



建築業界だけでなく、
先代や親との衝突で後を継げない人も少なくない中、
お父さんと一緒に仕事を続けられる環境を時間をかけて
作り上げてきた滝本さん。

うまくいっているのは、
二人の中に共通した思いがあったからかもしれない。


「間隔は長いかもしれないけれど、
 家造りもリピートビジネスだと捉えている。

 家を建ててから10年、15年経って、子どもも大きくなって、
 改築しようとなったときに選んでもらえるかどうか。
 それはやはり最初にどれだけ喜んでもらえる仕事が
 できたかどうかにかかっていると思う。」

「ありがたいことに、営業らしいことはしていないのに
 お客さんの口コミやつながりで紹介されて、
 仕事が入ってきている。
 これからもそうなるようにしていきたいね。」


滝本工務店は、八尾の伝統建築技法を守り、
街なかの景観保護の事業を請け負う「八匠(はっしょう)」
10社の内の1社でもある。

「街なかで伝統様式の家に直すとおもて部分に助成金が出る
 仕組みがあるが、思ったほど利用してもらえていないのが現状。

 やはり車の置き場所が離れてしまう、
 お金がかかってしまうところだと若い人が住むには
 難しいのかもしれない。

 若い世代は出ていき、その代わりに企業が入ってくる。
 おわらがあるから、高い値段で空家を買っていく。
 本当は空家には若い世代に住んで欲しいけれど、
 お金ばかりはどうしようもない。」


「この問題に対しては、
 自分ができることをやっていくしかないと思っている。

 魅力ある家造りを八尾で続けていく。
 戻ってくる人のためにも、新しく来る人のためにもね。

 そして、その子どもに魅力ある町になっていければ、
 将来も住み続けよう、戻ってこようと思える町に
 なっていると思うよ。」


↑創業の場所も八尾の伝統的な建築方法で作られている
(ちょうど小学生の下校時間にぶつかった。将来も住み続けてくれるかな?)


人がいないと商売をしようとする人がいない、
商売が盛り上がっていないと人が来ない、とも言っておられた。
どちらが先とも言えない問題の中、人が喜ぶ商売、仕事をし続ける滝本さん。

そんな大人がたくさんいる町なら、自然と町が盛り上がっていくに違いない。



↑滝本さんの「ありがとう」
北陸三県ありがとうプロジェクト
http://oyabelocalmail.blog27.fc2.com/


【紹介】


有限会社 滝本工務店
〒939-2306 富山県富山市八尾町井田346-5
TEL:076-455-1173
FAX:076-454-2170
http://takimoto328.jp/


■越中八尾 やつおローカルかわら版
https://www.facebook.com/YatsuoKawaraban

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